以前、友人のお父上が亡くなり、お父様ご愛用のカメラを頂いた。「父のカメラなの。もらってくれる?」
私は必要なカメラは自分で買っているし、たくさんあるので、カメラはとことん間に合っている。
「そんな大切なものをもらうわけにはいかない。」
「いえ、ぜひ価値のわかる人に。」
押し問答の末、結局頂くことになり、当然ながら棚の奥底にしまわれた。
時々見ては使い道のないカメラにホトホト困っていた。
そして5年近く経って、最近、気が付いたんです。
プレゼントには二つの種類がある。
一つはきっと喜んでくれるだろう、あなたの喜びは私の喜び、という本当のプレゼント。
そしてもう一つは
自分はいらないけど、この人にはいるかも、という整理整頓。
このカメラの場合、彼女は自分で捨てられないからくれたんだ、と。
そう思ったら、気楽になって、中古カメラ屋さんに持って行きました。
持って行く前にシャッターを押してみたら、カシャッとすごく良い音がした。
さすがニコン。
きっとカメラ好きにはたまらないカメラで名残惜しかった。
だけど、帰って来て棚がすっきりしたのを見て私もすっきり。
カメラさん、新しい良い持ち主に巡り会いますように。
フォトグラファー武井里香のブログ。筆不精なので、たまに更新します。